資金繰りの悪化や倒産危機など中小企業の経営リスクに備え、支援政策や共済制度が設けられています。試験で問われる可能性が高い代表的なものをまとめておきます。試験対策としては赤いマーカー部分は頻出論点なので必ず覚え、黄色いマーカー部分は可能なら覚えておきましょう。
中小企業退職金共済制度(中退共)
中小企業が従業員のために退職金を積み立てるための仕組みです。「中退共」と省略されることもあります。(中小企業退職金共済事業本部のホームページにある、「よくわかる中小企業退職金共済制度(ダイジェスト版)」が端的にまとめられていてわかりやすいです。)
本制度は、事業主が独立法人 勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を納付します。これにより、従業員が退職した際に、中退共から直接その従業員に退職金が支払われる仕組みです。
掛け金はすべての従業員において5,000円~30,000円までの16種類の金額から選択できます。パートタイマーなど短時間労働者についてはさらに2,000円、3,000円、4,000円の掛け金も選択することが可能です。
事業主が負担する掛金は、法人企業の場合は損金に、個人企業の場合は必要経費として全額を算入できます。
国からの助成制度
初めて中退共制度に加入する事業主および掛金月額を増額する事業主に掛金の一部を国が助成します。
- 新規加入助成
初めて中退共制度に加入する事業主に掛金月額の1/2(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4か月目から1年間、国が助成します。(なお、短時間労働者の特例掛金月額2,000円・3,000円・4,000円には掛金月額の1/2の額にそれぞれ300円・400円・500円が上乗せされます。) - 月額変更助成
18,000円以下の掛金月額を増額する事業主に増額分の1/3を増額月から1年間、国が助成します。
ただし、20,000円以上の掛金月額からの増額は、助成の対象になりません。
経営セーフティ共済(倒産防止共済)
取引先が倒産した際に、連鎖倒産を防止するための仕組みです。経営セーフティ共済または、中小企業倒産防止共済制度ともいわれます。中小企業基盤整備機構が運営しています。詳しくは同機構のホームページにある「経営セーフティ共済とは」や「制度の概要」を参照してください。
この制度では、1年以上継続して事業を行っている中小企業者の取引先が倒産し売掛金などの回収が困難になった場合に、「回収が困難となった金額」と「納付した掛金総額の10倍(最高8,000万円)」のいずれか少ない方の金額を、無担保・無保証人で借り入れることができます。
掛金月額は5,000円~200,000円までの範囲(5,000円単位)で自由に設定でき、掛金の総額が800万円になるまで積み立てられます。この掛金は、税法上、法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費に算入できます。
ただし、共済金の貸付を受けると、借り入れた共済金額の1/10に相当する額が、納付した掛金総額から控除(償却)される点には注意が必要です。
具体例:掛金総額が100万円の時に、取引先の倒産で500万円の売掛金が回収不能になった場合。
- 借入可能額の上限は「回収不能額500万円」と「掛金総額100万円の10倍=1,000万円」を比較し、少ない方の500万円となります。
- 500万円の貸付を受けると、その1/10にあたる50万円が掛金総額から控除され、掛金残高は50万円(100万円 – 50万円)に減額されます。
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
取引先の倒産や、社会・経済環境の変化といった外的要因により、一時的に業績が悪化している中小企業者を支援するための融資制度です。日本政策金融公庫が運営しています。詳しくは、セーフティネット貸付のページを参照してください。
本制度は、融資の対象となる企業の規模などによって「中小企業事業」と「国民生活事業」に分かれており、それぞれ貸付条件が異なります。
貸付条件
- 貸付限度額:
- 中小企業事業:7億2,000万円
- 国民生活事業:4,800万円
- 貸付期間:
- 設備資金:15年以内
- 運転資金:8年以内
- 据置期間: 3年以内
セーフティネット保証制度
セーフティネット保証制度は、自然災害や経済環境の急激な変化などにより経営の安定に支障が生じている中小企業者を支援するための制度です。信用保証協会が通常の保証限度額とは別に、別枠の保証を行うことで、中小企業者の資金繰りを円滑にすることを目的としています。
本制度を利用したい中小企業者は、まず本店所在地(個人の場合は主たる事業所)の市町村長(または特別区長)に認定を申請します。認定書が発行された後、その認定書を持って金融機関や信用保証協会に保証を申し込みます。
対象となる中小企業の状況に応じて1号から8号までの区分があります。詳細はセーフティネット保証制度のページを参照してください。


