今回は、著作権を解説していきます。

著作権
著作権は、思想又は感情を創作的に表現した「著作物」を創作した「著作者」に与えられる権利です。 この権利は、特許権などとは異なり、登録などの手続きを一切必要とせず、著作物が創作された時点で自動的に発生します(無方式主義)。
著作権の目的は、権利の発生を証明するためのものではなく、主に権利の譲渡といった法律事実を公示することで取引の安全を確保したり、その権利変動を第三者に対抗(主張)したりすることです。
著作権は、大きく分けて以下の二つで構成されます。
- 著作財産権:複製や上演など、著作物の利用に関する財産的な権利です。譲渡が可能です。
- 著作者人格権:公表権や氏名表示権など、著作者の人格的な利益を守るための権利です。著作者固有の権利(一身専属)であり、譲渡はできません。
保護期間
個人の著作物
原則として、著作者の死後70年間、保護されます。 この期間は、著作者が死亡した年から計算を開始し、70年後の12月31日に満了します。

法人の著作物(職務著作)
法人の名義で公表される著作物(職務著作)は、原則として公表後70年間、保護されます。ただし、創作後70年以内に公表されなかった場合は、創作後70年となります。 起算点は、著作物が公表された年(または創作された年)の翌年1月1日となります。
著作財産権
著作財産権は、著作物の利用方法に応じて、以下のように多くの権利(支分権)に分かれています。
- 複製権: 著作物を印刷、写真、コピー、録音、録画などの方法で有形的に再製する権利。
- 上演権・演奏権: 著作物を公に上演したり、演奏したりする権利(録音・録画物の再生も含む)。
- 上映権: 映画の著作物を公に上映する権利。
- 公衆送信権: テレビ放送やインターネット配信のように、著作物を公衆に送信する権利。サーバーへのアップロードなど、送信できる状態にする「送信可能化権」も含まれる。
- 伝達権: 公衆送信された著作物を、テレビのスクリーンなどで公に伝達する権利。
- 口述権: 言語の著作物を朗読などの方法で公に口述する権利。
- 展示権: 美術の著作物や未発行の写真の著作物の原作品(オリジナル)を公に展示する権利。
- 頒布権 映画の著作物の複製物を、公衆に譲渡(販売など)または貸与(レンタルなど)する権利。
- 譲渡権: 映画以外の著作物の原作品または複製物を、公衆に譲渡(販売など)によって提供する権利。
- 貸与権: 映画以外の著作物の複製物を、公衆に貸与(レンタル)する権利。
職務著作
著作物によっては、創作した個人ではなく、その人が所属する法人などが著作者となる場合があります。これを職務著作といいます。職務著作が成立し、法人などが著作者となるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 法人の発意に基づいていること(会社の企画や指示など)
- 法人の業務に従事する者(従業員など)が職務上作成したものであること
- 法人自身の著作名義で公表されるものであること
- 契約や勤務規則に「従業員を著作者とする」などの別段の定めがないこと
ただし、プログラムの著作物については、上記の3番目「法人名義での公表」という要件は適用されません。
職務著作と職務発明の違い
職務著作と、特許法における「職務発明」は、権利が誰に帰属するかという点で大きな違いがあります。
- 職務著作:別段の定めがない場合、法人が著作者となる
- 職務発明:別段の定めがない場合、従業員が特許権者となる(ただし、その場合も無償の通常実施権は法人に与えられる)

