今回は、商標権を解説していきます。

商標権
商標権は、事業者の信用の維持を図り、需要者(消費者)の利益を保護することを目的としています。
商標には、自社の商品やサービスを他社のものと区別するための機能(自他商品役務識別機能)が求められます。この機能は、さらに以下のように分類されます。
- 出所表示機能:その商品やサービスが、特定の事業者(例:A社)から提供されていることを示す機能。
- 品質保証機能:同じ商標が付されていれば、一定の品質を期待できることを保証する機能。
- 広告宣伝機能:商標そのものが商品やサービスの魅力を伝え、宣伝する効果を持つ機能。
保護期間
保護期間は、登録日から10年です。(他の産業財産権と異なり「出願日」ではなく「登録日」が起点となっていることに注意)
また、10年ごとに更新が可能で、その際に10年分の登録料を一括支払いします。
商標権の効力
商標権者は、登録された商標と同一の商標・役務(サービス)について、独占的に使用できる効力(専用権)を持ちます。また、類似する範囲の商標・役務については、他人が使用することを禁止する効力(禁止権)を持ちます。これは、紛らわしい商標から消費者を保護する目的もあります。
詳しくは以下の特許庁のサイトを参照してください。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/shotoha.html
商標登録の有効性を争う手続き
不正商標取り消し審判
日本国内において、登録商標を継続して3年以上使用していない場合、誰でもその商標登録の取消審判を請求できます。
この審判請求を免れるための形式的な使用(いわゆる「駆け込み使用」)を防ぐ措置として、審判請求前3ヶ月から請求登録時までの間の使用は、使用実績として認められない場合があります。
異議申立と無効審判
- 異議申立:商標掲載公報発行から2カ月であれば、だれでも申し立て可能です。
- 無効審判:原則として登録から5年以内であれば、利害関係者は無効審判を請求できます。(5年経過後は原則として請求不可)
先使用権

上の図のように、先に商標を使用していたA社と、後から同じ商標を登録したB社との間では、どのような権利関係になるのでしょうか。
先使用権が認められるための重要なポイントは、「B社が商標出願をした時点」で、すでに「A社の商標が広く知られていた(周知性があった)」ことです。
この要件を満たす場合、両者の権利は以下のようになります。
- A社の権利: A社には先使用権が認められ、図の通り、その後も無償でその商標を継続して使用できます。
- B社の権利: 一方、商標権者であるB社は、消費者の混同を防ぐために、A社に対して識別のための表示を追加するよう請求できます(これを「混同防止表示請求」と言います)。例えば、「沖縄の○○」のように、地域名などを付記するよう求めることができます。

