中小企業診断士2次試験(事例Ⅳ)の過去問分析②(問題の傾向)

事例Ⅳ

今回は、ここ数年の事例Ⅳの出題傾向についてまとめます。事例Ⅳは財務・会計をテーマにした事例です。
以下の表に、令和元年以降の事例Ⅳの出題内容をまとめました。

年度 問題 設問 過程 問題種別

2019

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務状態・経営成績の特徴)

2

1

 

CCVP (変動費率計算)

2

 

CCVP (損益分岐点分析と問題点)

3

CCVP (目標利益達成のための変動費率)

3

1

 

意思決定会計 (キャッシュフロー計算)

2

 

意思決定会計 (回収期間・正味現在価値計算)

3

意思決定会計 (投資案比較)

4

1

 

記述 (連結子会社化のメリット・デメリット)

2

 

記述 (EDI導入の財務的効果)

2020

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務状態・経営成績の特徴)

2

1

CCVP (損益分岐点売上高計算)

2

意思決定会計 (投資意思決定・正味現在価値計算)

3

1

 

記述(M&A会計処理)

2

 

記述 (M&Aリスクの助言)

4

1

 

その他 (ROI計算)

2

 

その他 (ROI計算)

3

 

記述(業績評価方法の問題点と改善案)

2021

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務的特徴・課題)

2

1

意思決定会計 (キャッシュフロー計算)

2

意思決定会計 (現在価値法による投資採否判定)

3

意思決定会計 (投資タイミングと有利不利の判断)

3

1

 

CCVP (目標利益達成数量)

2

CCVP (目標利益達成数量、複数単価)

4

1

 

記述 (事業再編の財務メリット)

2

 

記述(事業継続の理由・企業価値への影響)

2022

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務的課題とその要因)

2

1

 

CCVP (セールスミックスと利益最大化、制約条件)

2

CCVP (セールスミックスと利益最大化、複数制約条件)

3

1

 

その他(外注の意思決定)

2

意思決定会計 (キャッシュフロー計算・回収期間)

3

意思決定会計 (正味現在価値)

4

1

 

記述 (事業リスクとマネジメント)

2023

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務指標悪化の原因)

2

1

 

CCVP (変動費率・固定費・損益分岐点・損益分岐点比率)

2

CCVP (事業撤退の意思決定、限界利益分析)

3

 

記述(管理会計の妥当性)

3

1

意思決定会計 (正味現在価値・期待値・投資可否判断)

2

意思決定会計 (投資タイミングの最適化)

4

1

 

記述 (OEM生産の財務的利点)

2

 

記述 (新規事業の財務的利点)

2024

1

1

 

経営比率分析

2

 

記述 (財務状態・経営成績の特徴)

2

1

 

CCVP (セールスミックスと利益最大化、複数制約条件)

2

CCVP (価格設定と利益最大化)

3

1

 

意思決定会計(キャッシュフロー計算)

2

意思決定会計 (正味現在価値)

3

意思決定会計 (正味現在価値・期待値、投資可否判断)

4

1

 

記述(事業部間取引価格の問題点)

2

 

記述(業績評価の留意点)

 

この分析から、事例Ⅳの問題について以下のような分析ができます。

経営比率分析、記述

経営比率分析は毎年第1問で出題されており、財務会計の知識を問う記述問題も、第1問の設問2や第4問でほぼ毎年出題されています。これらは頻出論点のため、過去問を中心に演習を重ねておく必要があります。特に、第1問(設問2)の記述問題は、経営分析の結果や与件文の内容を踏まえて解答する必要があります。

CVP分析

CVP分析は、後述する意思決定会計に比べて解答を導きやすい傾向があるため、演習を重ね、平易な問題は確実に得点できるように準備しておく必要があります。ただし、以前は公式を当てはめるだけで解ける問題が主流でしたが、ここ数年は高低点法やセールスミックスといった、ひと工夫必要な問題が増加傾向にあります。「CVPは簡単だ」と高を括っていると、足元をすくわれかねないため注意が必要です。

意思決定会計

意思決定会計は、第3問などで問われることが多くなっています。特に投資のNPV(正味現在価値)を求める問題は、問題文が長く条件が複雑です。そのため、多くの受験生が「捨て問」と位置づけ、時間が余った場合に取り組む戦略をとることがあります。


しかし、CVP分析が近年難化傾向がある一方、意思決定会計は出題傾向に大きな変化がないという見方もできますので、解法をパターン化すれば、むしろ得点源になりうる問題と言えるでしょう。そのため、本番でCVP分析が難しいと感じた場合に備え、意思決定会計を完全に捨てるのではなく、基本的な対策はしておくべきです。

計算過程

表で「過程」という列に○を付けた問題は、計算過程を示すことを求められている問題です。これらの問題は、完答できなくても、計算過程を示すことで採点者に思考プロセスをアピールし、部分点を狙うことが重要です。白紙で提出すると0点で確定してしまいますが、何か記載すれば1点でも2点でも獲得できる可能性があります。この1点が最終的に合否を分ける可能性があるため、最後まで諦めずに取り組むことが必要です。

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