中小企業診断士2次試験(事例Ⅳ)経営比率分析について

事例Ⅳ

2次試験(事例Ⅳ)で必ず出題されるのは経営比率分析です。

経営比率分析の問題は、通常は第1問で問われることが多く、事例企業の貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)といった財務諸表をもとに各種分析を行います。基本的には、設問1で具体的な指標の計算、設問2でその指標を踏まえた事例企業の経営状況の分析、という流れで出題されることが多いです。

設問1の指標計算のパターンとしては、大きく分けて以下の2通りがあります。
① 事例企業と同業他社の財務諸表を比較し、優れている指標や劣っている指標を記述する
② 事例企業の前期と今期の指標を比較し、改善した指標や悪化した指標を記述する

収益性、効率性、安全性

指標計算においては、以下の視点を意識してバランスよく答える必要があります。

  • 収益性
    • 企業がどのくらい稼ぐ力を持っているかを示します。
    • (例)売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率
  • 効率性
    • 企業が資産をどのくらい効率的に売上へ繋げられているかを示します。
    • (例)棚卸資産回転率、(有形)固定資産回転率、売上債権回転率
  • 安全性
    • 企業がどのくらい安定的に経営を持続する力を持っているかを示します。
    • (例)流動比率、当座比率、自己資本比率

中小企業診断士2次試験では問題に対して「多面的に答える」ことが基本となりますが、この経営分析においても上記の3つの視点をバランスよく盛り込む必要があります。

例えば、「①優れている点を2つ、②劣っている点を1つ」問われている場合、「①収益性、安全性」「②効率性」のように3つの視点をすべて網羅して答える方が高得点を得やすく、言い換えれば、減点リスクの低い解答になります。

指標の選び方

では、どの指標を選択すべきか。ここで与件文を活用する必要が出てきます。例えば、問題で与えられた指標では、棚卸資産回転率と有形固定資産回転率がともに優れている場合、どちらを解答欄に記載しても良いわけではありません。与件文の記述をもとに選択する必要があります。

例えば、「在庫管理の精緻化により在庫管理に優れている」という記述があれば「棚卸資産回転率」を、「遊休設備を処分した」というような記述があれば「有形固定資産回転率」を選択するのが適切です。

また、後続の設問で「対象企業の経営状況について〇〇文字で述べよ」という問題が出題されることも多いため、そちらと連動させる意味でも、与件文に沿った指標を選択することが重要です。

具体的な解き方

私が試験を受けるにあたり、この第1問の経営分析をできるだけ短時間で解けるように試行錯誤を重ね、以下のような手順で解いていました。

  1. B/S,P/Lの必要な部分(具体的にはB/Sの流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、純資産(自己資本)、P/Lの売上総利益、営業利益、経常利益)に線を引く
  2. 以下に挙げた重要指標を(可能な限り)暗算で計算し、優れている(改善している)か、劣っている(悪化している)かの大枠を把握し、それをマークしておく。
    • 売上高総利益率、売上高営業利益率
    • 棚卸資産回転率、(有形)固定資産回転率
    • 流動比率(or 当座比率)、自己資本比率
  3. 与件文を読んで、どの指標を採用すべきか判断する
  4. 実際に数値を計算して解答欄に記述する

おそらく、手順3の与件文を読んでから手順1、2の計算を行う方も多いと思いますが、最初に計算しておくことで、与件文を読む際に重要なポイントがわかりやすくなるため、この手順のほうが早く解けるようになるのではないかと思います。

ただし、これまでと違うやり方を習得するには相応の時間がかかるため、すでに確立した解き方がある場合は、少なくとも今年度の試験に関してはその方法を変更しない方が良いでしょう。

これから、概ね2日に1回のペースで、令和元年以降の経営比率分析の問題を解説していきたいと思います。

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