中小企業・小規模企業の定義

一次試験

中小企業・小規模企業の定義は、この科目で必ず問われる重要分野なので、確実に得点できるよう、しっかり押さえておきたいところです。

中小企業者の定義

中小企業者の定義は、中小企業基本法において、業種ごとに「資本金の額または常時使用する従業員の数」で定められています。詳しくは「中小企業・小規模企業者の定義」を参照してください。

近年は、どの業種がどの区分に入るかというのが難しい問題が出題されることがあります。令和6年4月1日に施行された日本標準産業分類(第14回改定)についても、確認しておくことをお勧めします。

特に、飲食業持ち帰り・配達飲食サービス業小売業に分類される点は、混乱しやすいため注意が必要です。また、すべての条件が「未満」ではなく以下であることも重要ですので覚えておきましょう。

小規模企業者の定義

小規模企業者の定義は、中小企業基本法において、業種ごとに「常時使用する従業員の数」で定められています。中小企業者の定義と異なり、資本金の額は要件とされていません。なお、ここでいう商業とは主に「卸売業・小売業」を意味します。

宿泊業・娯楽業に対する小規模企業定義の緩和

上記は、「中小企業基本法」における定義ですが、一方で、「小規模事業者支援法」、「中小企業信用保険法」、「小規模企業共済法」の3法においては、政令により特例が設けられています。これにより、宿泊業及び娯楽業については、常時使用する従業員が20人以下の事業者も小規模企業者と定義されております。(「小規模企業の範囲を弾力化する政令を制定しました」も参照してください。)

例題:令和5年度(沖縄再試験)第15問(設問2)

この問題は、中小企業基本法における「小規模企業者」の定義を正しく理解しているかを問う問題です。

まず、小規模企業者の定義は「常時使用する従業員の数」のみで決まるため、選択肢にある資本金の額は判断に影響しないダミー情報です。

中小企業基本法では、小規模企業者を業種ごとに以下の従業員数で定義しています。

  • 製造業その他: 20人以下
  • 商業・サービス業: 5人以下

この定義を各選択肢に当てはめて確認します。

  • ア:宿泊業(従業員10人) 宿泊業は「サービス業」に分類されます。したがって、従業員数の上限は5人です。10人はこの条件を満たさないため、誤りです。
  • イ:酒類卸売業(従業員8人) 卸売業は「商業」に分類されます。したがって、従業員数の上限は5人です。8人はこの条件を満たさないため、誤りです。
  • :生菓子製造業(従業員18人) 生菓子製造業は「製造業」に分類されます。したがって、従業員数の上限は20人です。18人はこの条件を満たしているため、これが正解です
  • エ:パン製造小売業(従業員12人) 主たる事業がパンの「小売」であるため、「商業(小売業)」に分類されます。したがって、従業員数の上限は5人です。12人はこの条件を満たさないため、誤りです。

よって、生菓子製造業が正解です。(ちなみに、私は、「中小企業基本法」に基づく問題であることを見落として、アの選択肢と迷ってしまったという経験があります。あくまで「中小企業基本法」では、宿泊業は「サービス業」として5人以下と定義される、という点をしっかり押さえることが重要です。)