経営情報システムの学習の進め方

一次試験

経営情報システムは、中小企業診断士1次試験の2日目・2科目目に配置されています。7科目にわたる試験も後半戦。終わりが見え、少し気持ちが楽になる頃ではないかと思います。

私自身、長年ソフトウェア開発に携わっていたため、この科目は得意でした。ネットワークやセキュリティといった分野は、IT関連の業務に携わっていれば、たとえ専門でなくても知識を関連付けて理解しやすいでしょう。私自身も、この関連知識のおかげで、ITに馴染みのない方に比べて有利に学習を進められたと感じています。

今後出題が増えると思われる論点(AI関連の論点)

IT技術の開発スピードが年々早まっている中、本年度(令和7年度)またはそれ以降、出題が増加する可能性が高い論点としては、やはりAI関連が挙げられます。
昨年(令和6年度)も第24問にAI関連の内容が出題されました。

ハルシネーションは、AI関連の分野では有名な事象であるため、聞いたことがある方も多かったのではないかと思います。 この問題の正解は「」ですが、紛らわしい内容が選択肢に含まれているので、正確な意味が分からないと迷ってしまいそうです。 一方で、「ハルシネーション」=「幻覚」という英語の意味を知っていれば、正解を導くことができたかもしれません。

今後問われる可能性があるAI関連の内容としては、以下のようなものが考えられます。

  • LLM(Large Language Model): 大量のテキストデータでトレーニングされた大規模言語モデル。ChatGPTなどで利用されている基盤技術。
  • プロンプトエンジニアリング: AIから、より望ましく精度の高い回答を引き出すために、入力する指示や質問(プロンプト)を工夫・設計する技術のこと。(ただし、近年のAIの性能向上により、簡単なタスクであれば特別な工夫がなくとも質の高い回答を得やすくなりました。その一方で、専門的な分析や創造的な業務など、プロンプト技術の重要性が一層高まっている分野もあります。)
  • RAG(Retrieval Augmented Generation): LLMが外部の最新情報や専門的なデータベースを参照しながら回答を生成する仕組み。LLMの弱点であるハルシネーションや情報鮮度の問題を補う技術として注目されている。
  • AI Agent: LLMなどのAIを活用し、自律的に情報収集や分析、タスク実行を行うプログラムやサービス。
  • AI倫理: AIの開発と利用における倫理的な課題や原則のこと。AIが意図せず差別的・非倫理的な内容を生成するリスクがあるため、開発者と利用者の双方に、公平性、透明性、説明責任などを考慮した行動が求められる。

試験免除について

試験免除についてはこちらの令和7年度の1次試験案内に掲載されていますが、他の科目が「博士」や「税理士」、「弁理士」など、免除の権利を得るためのハードルがかなり高い一方で、この科目については、一部の情報処理技術者試験の合格者にも、試験免除の権利が与えられます。

中でも「応用情報技術者試験」は比較的取得しやすい試験なので、保有している方もいらっしゃるのではないかと思いますので、有効活用したいところです。ただし、試験免除の権利を得るためにこれらの試験を受けるのは得策ではありません。あくまでも、すでに保有している方が免除して他の科目や2次試験対策に注力することを検討するべきだと考えます。

一方で、免除対象となるほどの知識があれば、あえて受験して高得点を狙い、他の科目を補う「得点源」とする戦略も有効です。IT知識に自信がある方は、60点を超える高得点で試験全体を有利に進めることを目指しても良いかもしれません。

次の区分の情報処理技術者試験合格者には「経営情報システム」の試験免除の権利が与えられます。(令和7年度1次試験案内より)

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