企業再編(合併)

一次試験

企業再編の中の「合併」について取り上げます。

複数の会社が法律上、一つの会社となることを合併といいます。合併には「吸収合併」と「新設合併」があります。事業譲渡と似ていますが、事業譲渡ではたとえすべての事業が譲渡されても会社自体は存続できるのに対し、合併では当事者の一方または双方の法人格が消滅する、という根本的な違いがあります。

吸収合併

ある会社(A社)が、別の会社(B社)を吸収し、A社のみが存続してB社が消滅する形態の合併を「吸収合併」といいます。このとき、A社を存続会社、B社を消滅会社と呼びます。

合併の際、A社はB社のすべての権利義務(資産、負債、契約など)を承継します。そして、その対価として、B社の株主にはA社の株式や現金などが交付されます

吸収合併における手続きの例外

吸収合併においては、原則として株主総会の特別決議が必要ですが、手続きを簡略化できる例外的なルールがあります。

1. 簡易手続き

合併の影響が比較的小さい場合に、株主総会を省略できる制度です。

  • 存続会社(A社)の場合 消滅会社(B社)の株主に支払う対価(株式や現金など)が、A社の純資産の5分の1以下であれば、簡易手続きとして株主総会を省略できます。
  • 消滅会社(B社)の場合 簡易手続きは利用できません。 会社が消滅するということは、株主にとって極めて重大な影響があるため、必ず株主総会の特別決議が必要です。

2. 略式手続き(会社間に強い支配関係がある場合)

一方の会社がもう一方の会社の議決権の10分の9以上を保有しているような、強い親子会社関係がある場合に株主総会を省略できる制度です。

  • 消滅会社(B社)の株主総会 存続会社(A社)がB社の議決権の9割以上を持っている場合、B社の株主総会で決議をしても結果は明らかなため、手続きを省略できます。

新設合併

A社とB社のように、合併する会社がすべて消滅し、それらの事業をすべて引き継ぐための新しい会社(C社)を設立する形態の合併を「新設合併」といいます。

このとき、消滅するA社とB社を消滅会社、新たに設立されるC社を新設会社と呼びます。消滅会社の株主には、その対価として新設会社であるC社の株式などが交付されます。

新設合併における手続きの例外

新設合併により消滅する会社においては、株主総会の特別決議が必須です。簡易手続き、略式手続きともに認められません