今回は令和4年(2022年)の第2問を取り上げ、CVP分析の問題について、どのような思考プロセスで解答に至るのかを具体的に解説します。(あくまでも、「私ならこのように解答する」という参考例として記載していますので、その旨ご承知おきください。)
問題の確認
令和4年(2022年)の問題はこちらに掲載されています。
問題文の確認
まずは、問題文から重要なポイントを整理しましょう。第2問の冒頭は「D社は、海外における…」という文章で始まるリード文がありますが、この部分には以降の設問を解くために必要な情報は含まれていません。必要なのは以下の<製品データ>以降の部分です。
- 設問1: 3,600時間の制約条件の中で最大の利益額を計算します。
- 設問2: 設問1の条件に加え、もう一つアルミニウムの消費量6,000kgという制約条件を加味した場合の最大の利益額を計算します。
また、両設問とも、桁数が多いにもかかわらず「千円」や「百万円」ではなく解答の単位は「円」です。桁数を省略したほうが計算しやすいため、うっかりそのまま解答に転記しないように注意しましょう。(この程度の計算量であれば、下手に省略するより「円」のまま計算したほうが無難だと思います。)
以下は、設問文のポイントを落とさないように記載するマークの例です。

解答案
設問1について
問題の概要
- 状況・制約: D社は、当該業務の年間最大直接作業時間を3,600時間と定めている。
- 目的: この単一の制約のもとで、利益を最大化する製品Aと製品Bの生産数量の組み合わせ(セールスミックス)を計算し、その際の利益額を求める。
基本的な考え方
- 利益額=限界利益 – 固定費
という考え方をベースにして解いていきます。限界利益は単位当たりの製品販売における利益額のことです。
制約条件が「直接作業時間」のみなので、単位時間あたりの限界利益が大きい方の製品を、制約時間の上限まで生産・販売することで、利益が最大になると考えます。
具体的な計算
- 製品A,Bの限界利益を求める
- 製品A:限界利益=単価7,800円-直接材料費400円/kg×4kg-直接作業時間1,200円/h×2h=3,800円/個
- 製品B:限界利益=単価10,000円-直接材料費400円/kg×2kg-直接作業時間1,200円/h×4h=4,400円/個
- 時間あたりの限界利益を求める
- 製品A:時間当たり限界利益=3,800円÷2h=1,900円/h
- 製品B:時間当たり限界利益=4,400円÷4h=1,100円/h
- 以上より、同じ時間をかけて生産するなら製品Aに全振りしたほうが多くの利益を得られることがわかる
- 最大となる利益額を求める
- 利益額=製品Aの時間当たり限界利益1,900円/h×3,600h – 4,000,000=2,840,000円
- 共通固定費を忘れずに差し引きます
解答
(a) 2,840,000(円)
(b) 制約となる労働時間を、単位時間あたりの限界利益が大きい方の製品の生産にすべて費やす。
限界利益は、製品A:3,800円/個、製品B:4,400円/個である。
単位時間あたりの限界利益は、製品A:3,800円÷2h=1,900円、製品B:4,400円÷4h=1,100円のため、製品Aをすべて生産する
利益額=1,900円×3,600h-4,000,000円=2,840,000円
設問2について
問題の概要
- 状況・制約: 設問1の直接作業時間の制約に加え、原材料であるアルミニウムの価格高騰を受け、アルミニウムの年間消費量の上限を6,000kgとする。
- 目的: これらの複数の制約(直接作業時間とアルミニウム消費量)のもとで、利益を最大化する製品Aと製品Bの生産数量の組み合わせ(セールスミックス)を計算し、その際の利益額を求める。
基本的な考え方
典型的なセールスミックス問題であり、2つの制約条件をもとに線形計画法で求めます。線形計画法は、与えられた2つの制約条件を満たす領域(実行可能領域)の中で、利益が最大となる点を見つける問題です。多くの場合、2つの制約線の交点(グラフの赤矢印)が利益最大点となります。(厳密には各軸との交点も確認する必要があります。)

具体的な計算
- 連立不等式を立式する
- 製品Aをx個、製品Bをy個生産するケースを考える。
- 設問1で与えられた直接労働時間制約より、2x+ 4y ≦ 3,600…①
- アルミニウム消費量の制約より、4x + 2y ≦ 6,000…②
- ①②の連立不等式から、2つの直線の交点を求める
- xについて解くと、6x ≦ 8,400より、x≦1,400
- yについて解くと、2y ≦ 400より、y≦200
- 今回のグラフは以下の交点で利益が最大となっている
- グラフの切片、つまり製品Aのみ、またはBのみを生産する場合と比較して、交点での利益が最大となるため、ここが最適解(製品Aは1,400個、製品Bは200個)となる

- 利益額 = Aの限界利益3,800円/個×1,400個 + Bの限界利4,400円/個×200個 – 共通固定費4,000,000円 = 2,200,000円
解答
(a) 2,200,000(円)
(b) 利益最大となる製品A、Bの個数をx,yとし、線形計画法で求める。
直接労働時間の制約から、2x + 4y ≦ 3,600
材料の制約から、4x + 2y ≦ 6,000
上記より、x=1,400個、y=200個の時に利益が最大となる。
利益額 = Aの限界利益3,800円/個×1,400個 + Bの限界利4,400円/個×200個 – 共通固定費4,000,000円 = 2,200,000円
本日は、以上となります。


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